初めてのお客様(フランス/リヨン5)

会場には多くの陶器好きの人達で、にぎわい始めました。

歩きながら展示台に並べた僕のうつわを見つめる方もチラホラ。
だいたい陶器好きは、まずお目当ての陶芸家の元に行くか、
とりあえず一周回って、購入しようと思うものに目星を付けるもので、
なかなか、すぐには売れないものなのだと経験から分かっていますが、、、
何とも見つめられるだけでドキドキする。
はたして、僕のものを買ってくれる人はいるのだろうか。
こんな緊張感は久しぶり。

足を止めてじっくり吟味している方が何人か現れる。
そして、、ついに!うつわを持ち上げてこれを欲しいという動作を確認。
おお!開始早々、海外初のお客様!

記念に撮影させて頂きました。
この方を僕は忘れる事はないでしょう。
嬉しかった〜。ありがとうございます。

そして、その後間もなく、またまた嬉しい事がありました。
このイベントに出展している陶芸家の方が、
突然「コンニチワ」と日本語で声をかけてくれたのです。

その方はパスカルさんというフランス人で、フランスのナントで志野焼をされている陶芸家でした。
パスカルさんは日本の焼き物が大好きで、何回も来日しているそうです。
当然、日本の陶器のことを熟知されていました。
特に桃山時代の志野焼を再現した荒川豊蔵先生を尊敬しているようです。

パスカルさんは、日本から陶芸家がこのイベントに出展するという事を知って、興味を持っていたようです。
そして、僕のうつわをじっくり吟味し始めました。陶芸家ほど、陶芸に詳しい人はいません。パスカルさんはどういうふうに僕のうつわを見るのかと、こちらも逆に興味があります。

すると、パスカルさんが「気に入った」と言いだして、いくつも買って下さいました。
陶芸家に購入してもらうほど、確かな手応えはありません。

このパスカルさんは、とっても気さくな方で「陶芸家は全世界ブラザーなんだ」と言って、ご自分の陶芸家仲間達に僕を連れ回して紹介してくれました。そして、早速、購入したうつわを披露し始めました。
長く陶芸をしていると、作品を見れば、その人の技量と人柄が何となく分かるもので、そういう点では僕のうつわは陶芸家仲間に紹介出来る合格点はとれていたのかもしれません。

そして、みんなでワインで乾杯!思いもかけない展開。

言葉が通じなくても、同じ志で通じている。
今まで陶芸をしていて良かったと思った瞬間でした。

Tupiniers du vieux Lyon 2013 始まる(フランス/リヨン4)

作品が届き、ようやく展示に向けて急ピッチで準備にとりかかりました。

このイベントは教会前の広場での展示なので、テーブルやテントなどは各自が用意して搬入しなければなりません。
前夜から当日の朝にかけて一気に設営です。

前夜、機材を持って会場に行くと、ヨーロッパ各地から続々とやってきた陶芸家達が溢れていました。
見るからに「陶芸してる」という臭いがムンムンしていて。日本と一緒だな〜と思いました。
早速、自分の展示スペースの周囲の陶芸家さん達にご挨拶。

共に陶芸を志しているというだけで、言葉が通じなくても不思議と心が通うものです。
皆さん、たいへん好意的に迎えてくれました。

思えばこのような陶器市は久々です。僕は25歳から32歳までの7年間は北海道内を始め、栃木県の益子までも陶器市に行っていました。陶器市は販売の目的もありますが、一度に多くの陶芸家達と自分を見比べる中で、自分の力量や独自性を判断したり、自分の作品がどのように人々に受け入れられるかを直に感じられる絶好の機会です。

海外で自分の作品がどのように受け入れられるのか。これを判断するのに陶器市ほど確かなものはないでしょう。

朝6時からの展示設営。ワクワク、ドキドキしながら、ようやく作品を展示台に並べたところで、サン・ジャン大聖堂の鐘が鳴り響きました。

9月7日 9:00  Tupiniers du vieux Lyon 2013 の始まりです。


迷子になって大捜索(フランス/リヨン3)

リヨンの友人宅を訪ねると、玄関前には大きな荷物が置いてあった。
軍事物資でも入っているかのような鉄製の頑丈そうな箱だったので「この箱を台にして板を乗せて展示台に利用出来ないかなー」
と早速聞いてみたところ、「それはいいアイディアだ」と快諾。
でも、中身を出してもらうのは悪いかなと思って何が入っているのか聴いてみると、
「これ、あなたの荷物でしょ」と返答。
「え!!!」ここで、荷物が間違って配達されている事が判明!
 
4箱のダンボール箱に詰めた僕の荷物はいったい何処に行ったのか?
それからの2日間は大変でした。リヨンの友人ご夫妻や日本の友人まで巻き込んでの大捜索となりました。
日本とフランスの運送会社に問い合わせたり、間違って配達された荷物の宛名から、受け取り主へ直接コンタクトを取ったりしました。8時間の時差があるので想像以上にこれは大変な作業なのです。
なかなか見つからないので、一時はセラミックフェスティバルの出展を諦めなければならないかと覚悟を決めていましたが、間違って届いた荷物に貼られたバーコードシールを発見し、写真をメールで運送会社に送ると、、、僕の荷物はフランス国内にある事が判明。

翌日、運送会社のトラックが玄関前に到着。

待ってました!と荷台を覗くと、、、何も入ってない。
間違って配達された荷物の集荷だった。先にこちらのものを運んでくるのが筋だと言いたかったが、運転手さんに言っても仕方がない。

なかなか待っていても僕の荷物が配達される様子がないので、再度運送会社に問い合わせてみると近くの郵便局までは届いているという返答だった。
もう、これ以上待っている事も出来ないので、郵便局まで受け取りに行く事となった。
3日目、ギリギリの到着でした。

海外に荷物を送る時には、最後の最後まで気を抜けないものだと今回は勉強になりました。
友人達のフォローが無かったら、一人でこのピンチを乗り切る事は出来なかったでしょう。
感謝、感謝です。

リヨンへ 羽田ードバイーリヨン (フランス/リヨン2)

リヨンはさすがに遠かった。9月2日に羽田国際空港を深夜に出発して、飛行時間10時間30分で、まずはドバイ。リヨン行きの飛行機を7時間も待たなくてはならず、ひとまずドバイを散策。



直前まで東京での個展で連日在廊していたこともあって、北海道暮らしの僕は東京の暑さに、うんざりしていました。きっと砂漠の中にあるドバイの街はさぞかし猛烈に暑いのだろうと心配していましたが、なんとドバイでは鉄道や歩行空間が中央部まで届いていて、大きなパイプの中を移動している限りは、外気にさらされる事なく、快適に空港から市街地まで観光が出来るのです。宇宙都市があったらこんな感じかもしれません。

しかし、ずっとパイプの中なので、やっぱり外を歩いてみたいな、、、、と思って一旦パイプから出てみたが、やっぱり暑い!
それでもジリジリした日差しに耐えながらも、世界一の高層ビルの「ブルジュ・ハリファ」(828m)をなんとか撮影。



そのまま冷房の効いたパイプの中を進んで行くと、巨大シティーモールに到着。
ホットドックを食べて、ブラブラ散策をする。

とにかくドバイのシティーモールは巨大すぎて、きっと全部見ようと思ったら1週間はかかりそうだ。旭川のイオンの30倍くらいはありそう。歩き疲れ、迷子になる前に早々に大きなパイプを通って空港に戻る。

7時間では当然ドバイの魅力も分からず、、、、とにかくドバイのインフラ整備の凄さにビックリ。
今度は暑さを克服して、砂漠でラクダに乗ったり、海で泳いでみたいものです。

ドバイからリヨンまでは7時間25分の飛行機の旅。
今回はエミレーツ航空を利用しましたが、とっても快適な空の旅でした。

そして、ようやくフランスリヨンに到着!
古い町並みが心地よく。気候も北海道に似ていて爽やか。
ドバイとは対照的です。


Tupiniers du Vieux Liyon 2013 (フランス/リヨン1)

フランスのリヨンで2013年9月7日、8日の2日間で開催された「Tupiniers du Vieux Liyon 2013」に参加してきました。

「Tupiniers du Vieux Liyon 』とはリヨンのサン・ジャン大聖堂前の石畳の広場で年に一度、開催されるセラミックフェスティバルで、ヨーロッパの各地で創作活動をしている陶芸家140名が作品を展示販売する大イベントです。

 実は数年前から、リヨンに住んでいるフランス人の友人が、地元で開催されるこのイベントに参加してみないかと誘ってくれていました。後から知ることになりましたが、このイベントには、ヨーロッパ中の陶芸家達が参加したいものだそうで、陶芸を職業としている証明や作品の審査、その後抽選となっていて、出たくてもなかなか出られないものだそうです。

 もちろん事務手続きなどは当然フランス語となっています。僕はフランス語をまったくできないので、主催者とのやり取りの一切を友人がしてくれました。長期間に及ぶその労力、忍耐には感謝です。今回は幸運にも参加出来ることになりました。

 これまで海外に行く時に、友人へのお土産として自作のうつわを持って行くことはありましたが、今回は作品を販売する事となりました。
 自分の作品がどのようにヨーロッパの人たちに受け入れられるのか?られないのか?
 そのご報告を数回に渡ってお届けします。
(つづく)

弟子屈 山椒

北海道の東部、弟子屈町にやってきました。
「山椒」さんで15日まで個展です。今回で4回目です。
「山椒」さんは「摩周温泉」道の駅の通り「湯の島通」にあります。
名前でもわかるように温泉が湧き出る通りのようで、道の駅では足湯が利用出来ます。



道の駅の近くには、スープカレーで有名な辻谷食堂とアジア雑貨などやアンティークを販売している辻谷商店があります。そこから300メーターほど離れたところにある
この建物が山椒さんです。



ドアの下にひっそりと看板があります。



ドアを入ると、常設の展示空間があります。
こちらは
金、土、日(11時から17時/冬は16時)
不定営業のため、電話で連絡が必要です。
TEL 015-482-2666



個展はもう一つドアを入った室内空間で開催しています。



1階、2階スペースがあります。
建物の作りもなかなか面白いです。



落ち着いた空間の中でゆっくりうつわを見ることができます。
うつわは展示販売しています。



特製のあんみつやロールケーキなども食べることができます。

弟子屈は摩周湖や屈斜路湖などの美しい湖もありますし、名湯の川湯温泉などもあるので、
楽しめます。是非、おでかけ下さい。

工藤和彦個展
期間:2013年7月6日(土)〜7月15日(月)
場所:〒088-3203
   川上郡弟子屈町湯の島3-3-25
   TEL 015-482-2666

ガーデン街道 だいせつ倶楽部

オープンガーデン「だいせつ倶楽部」工藤和彦個展

期間:2013年6月11日〜6月23日
場所:オープンガーデン「だいせつ倶楽部」
〒078-1733 上川郡上川町栄町70番地4 
TEL 01658-2-4555

上川町のオープンガーデン「だいせつ倶楽部」にて今日から始まった工藤和彦個展の様子を早速報告します。



緑が何とも美しいアプローチ。
ガーデンに一歩足を踏み入れるとそこは別世界のようです。



凛と咲いた赤い花



店内の様子がチラッと見えてきます。



壁のツタ、飾っている小道具もいい感じ。



熊さんがお出迎え。



店内は広々しています。



白樺ホワイトの片口小鉢や六角鉢など、気持ち良さそうにしています。

開店早々、早くもお客様が来られています。
ランチは数に限りがありますので、あらかじめ予約された方がいいです。
ちなみに、、、、
ランチはこだわりの有機認定された自家製のお野菜で作られています。




爽やかな季節です。是非おでかけ下さい。

岡山のアートスペース油亀訪問

 
春に、岡山県のアートスペース油亀さんを訪ねました。
数年前から、様々な企画展にお誘い頂いています。
岡山駅からもほど近く、近くには岡山市立オリエント美術館などもあります。
ちなみにオリエント美術館には高校3年の夏に来た事があって、懐かしい〜。

古い街道沿いにあるアートスペース油亀さんの店舗は、元々油問屋だったらしく。店構えに歴史を感じます。店内は昔ながらの雰囲気を活かして開放感に溢れた様相になっていました。
訪ねた時には、あいにく展示替えの最中でしたが、ここにうつわが並ぶと思うと、ワクワクします。
「そば猪口のススメ」展や「カレーのうつわ」展など、ユニークな企画に毎度お誘い頂きますが、とにかく楽しそうな雰囲気が伝わってきて参加するのが楽しみです。
ゆっくりのんびりと、人と人、人とモノが、語り合えるとっても居心地のいいスペースでした。


(右:店主の柏戸さんです)

アートスペース油亀
〒700-0812 岡山市北区出石町2-3-1 
TEL 086-201-8884
WEB http://aburakame.web.fc2.com/


冬は粘土づくり

 冬は当然ストーブを燃やします。ここ旭川では外気がマイナス25度くらいまで下がるので、暖房がないと、水分は凍ります。陶芸では凍害は致命的です。そのため温度管理は大切な仕事です。
夜間はオイルヒーターで一定に保ち。朝は1時間ほど灯油ストーブで急速に暖め、その間、薪ストーブを点火して日中は薪をくべて暖房とします。
温度のコントロールは断熱さえしていれば、容易なのですが、湿度の管理はなかなか難しい。特に冬場は乾燥が著しく、急速に作った作品が乾燥して行くと、歪んだり、縁から亀裂が入ります。
昔ながらの窯元などに作業場を土間にしているのは、自然の湿度を上手く利用したものなのです。
これにヒントを得て、この冬場は作業場で秋に掘った粘土を乾燥させる事にしました。



乾かした粘土は水に浸して泥状にして、石膏鉢に入れて水分量を調整して練ります。
僕が掘っている粘土は、風に乗って飛んできて堆積した粘土なので、自然現象で粘土粒子は揃っており、フルイにかけて不純物を取り除く必要もありません。
湿度調整も出来るし、粘土はどんどん作れるし仕事もはかどります。
色々考えながら日々、仕事に取り組むのは楽しいことです。

ひとつ気がついた事があります。掘って来た粘土をカチコチに凍らせてから、溶かすと自然と結合がバラバラになります。堅い粘土の塊をハンマーで砕く必要もなくなるので、結果的に作業効率がグンと上がりました。
旭川の寒さも強い味方になる事もあるものです。
今まで寒くて辛かった旭川の冬が、楽しいものになりつつあります。

最後に思い出を窯に詰めて


 2000年から13年間使い込んできた窯のひとつが、とうとうその役目を終えた。
この窯との出合いは、思いもかけないものだった。
うつわを卸していた業者さんに請求書を持って行ったら、
なんと、前日に夜逃げしてしまったという事だった。
直前まで注文されたものを納品し続けていたので、突然の事にビックリした。
入金を期待していたので、僕は途方に暮れた。

店員の方達に事情を聞くと、彼女等にも給料がしばらく支払われていないという始末。
この店舗には陶芸材料も販売されており、材料や器具はいくつか残っていた。店員の方達に、これらを販売して、自分たちの給料や債権者の支払いにいくらか回したいと相談された。債権者となった人達が何人も訪れるので、切実な願いだ。

取り残されてしまった店員さんの事情も知って、陶芸関係の友人と共同で残った材料や機材を出来るだけ購入させてもらった。
この時に、入手した機材のひとつがこの中古の窯だった。

以前は店舗で陶芸教室などをしていたので、活用していたようだが、老朽化して来たために使われなくなって、倉庫の中にひっそりと眠っていたものだった。
古びたこの窯が「僕も連れて行って!まだ、働ける」と言っている気がしたので、とりあえず購入した。

それまで、薪、ガス、灯油の窯を使っていたので、当初は電気の窯を扱うのは初めてで、配線や電気の契約料金などで思わぬ出費が続いて戸惑ったが、慣れると扱い易い窯で温度上昇をプログラム出来るように改造するなどして重宝するものとなった。

ただ、使い込まれた上に使い込んで行くので電熱線はよく切れた。しばしば焼成中のうつわをダメにしてしてしまった事もあったが、何とか修理をしてこれまで使っていた。しかし、とうとう発熱線の寿命はとっくに過ぎ、窯には隙間が目立って来た。おまけに、窯の蓋は劣化して今にも落ちてしまいそうだ。

全面改修してみようかとおもって試算したが、かなりの時間と費用がかかるので諦めた。
今後は分解して、鉄枠や耐火物は資材として活用される。

ふと窯に取り付けられたプレートを見ると製造年月日1986年とあった。
僕が16歳の時に出来た窯だ。ちょうどその頃は高校のクラブ活動で陶芸を始めたばかりの時期に重なる。出合いとは不思議な縁だ。
今まで多くの作品を焼いてくれてありがとう。
ご苦労様でした。

Kazuhiko Kudo, a Japanese potter in Hokkaido

Kazuhiko kudo introduction in English by The Tripout.


ウラヤマクラシテル

http://urayama.org/

工藤和彦のインスタグラム

《個展・企画展情報》
個展*ギャラリー天心(兵庫)
10月30日から11月9日




《今後の個展/企画展情報》
  • 企画*暮らしのうつわ花田(東京)
    2020年1月下旬〜
  • 企画*ウラヤマクラシテル(旭川)
    2020年4月中旬〜
  • 個展*ギャラリー唯(京都)
    2020年4月28日〜5月17日
  • 個展*西武池袋アートギャラリー(東京)
    6月3日〜6月9日
  • 企画*ウラヤマクラシテル(旭川)
    2020年7月中旬〜
  • 個展*札幌三越アートギャラリー(札幌)
    11月17日〜11月23日
  • 企画*ウラヤマクラシテル(旭川)
    2020年9月下旬〜
  • ※展覧会の日程は変更がありますので、ご注意ください。


  • 工藤和彦のホームページ
    Twitter
    Facebook
    mail

                
    記事