「シラカバホワイト」の誕生!

  我が家の周囲にはシラカバがいっぱいあります。「♪シラカバ〜青空〜みな〜み〜風」(北国の春)と唄われるように、北海道ではとってもポピュラーな樹木のひとつです。
 アイヌ語では「レタッタッニ」と言われ、「白い樺皮のとれる木」という意味だそうです。このシラカバ特有の白い樹皮は、実はとても油分が多くて燃え易く、ストーブの点火や炭起こしでとっても活躍します。
 
 近くの小学校では校庭にシラカバが並んで生えていました。何とも北海道らしい風景を醸していましたが。このシラカバの根はとても浅く、また植え付けてから50年以上が経ち、幹の中が腐り、空洞となってしまっており、大風で倒れる危険があることから、伐採することとなりました。

 小学校に子どもを通わしている。お父さん、お母さんの人力によって、20本ものシラカバの大木を切り倒しました。農家の多いこの地域のパワフルさを感じます。

 その切り倒したシラカバを貰い受けました。これは冬場のストーブの薪としてです。



 これが伐採したシラカバの山です。チェーンソーで30センチの長さに切って、斧で割ります。それを乾燥させてからストーブで冬に燃やします。薪の炎はあたたかく、そして、炎の揺らぎは美しいものです。厳しい冬の楽しみのひとつです。

 木を燃やすと当然、灰がでます。この灰は陶芸の釉薬に使うことが出来ます。そのため、我が家ではストーブを燃やす時には使用する樹木を1種類に限定しています。それによって純度の高い灰が取れるのです。無論、焚き付けに新聞紙なども使いません。昨年の冬はこのシラカバを燃やし続けましたので、シラカバ灰が採れました。冬中燃やしても(シラカバ約2トン)灰は30キロぐらいしかなりません。それだけに貴重なものです。

 灰はまず、桶に入れて水を加えて撹拌します。沈殿すると、燃えカスなどが浮かんでくるので丁寧にそれを取り除きます。2日ほど経つと灰と水が分離して水が茶色くなるので、これを取り除きます。これは、樹木の灰汁です。また、水を加えて撹拌し、灰汁を抜きます。これを3回ほど繰り返します。



 灰は水分を多く含んでいるので、麻袋に入れて絞って水分を抜き、さらに天日で乾かします。そうして出来上がったものがこの灰です。
 灰と長石を混ぜて、まずは粉引に使ってみます。

 
 白はとても微妙な色です。白と言っても色々な白さがあります。自分らしい白さとは何か。この問題に10年近く悩んでいました。これは黄粉引の黄色にこだわれば、こだわるほど「白」においても追求したかったのです。

 こうした白へのこだわりは、キルト作家の秦泉寺由子さんとの出会いで、より強くなりました。彼女は自分らしい白を追い求めてバリで青竹を使って白布を白に染めるという未だかつて誰もしたことの無いことを成し遂げました。日本人にとって、白は特別な色なのです。

 自分らしい白。
 風土に根ざした白。
 北海道らしい白。
 そのイメージは、、、
 サラサラのパウダースノー。
 シラカバ。
 大空に浮かぶ雲、、、

 その願いが通じたのか、焼き上がったものは従来の白い粉引のものとは違い、スッキリと白く、まるで淡雪のような雰囲気の白さになりました。白すぎず温かみがありながら、凛とした存在感のある白。そんな印象を受けます。

 名付けて「シラカバホワイト」。自分らしい「白」その答えがひとつ出てきました。「シラカバの白の息吹を込めた白」結局、自然の恩恵に助けられながら僕の創作活動は成り立っているのだなとつくづく感じ入ります。
 
 是非、お手に取ってご覧下さい。
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