黄粉引の誕生

 2億年の歳月が作り出した粘土を最大限に生かす方法を色々試してみました。
 焼き締め、灰釉、織部なんかもしてみました。そして、一番この粘土に相性がいいのは「粉引」(こひき)だと思うようになりました。
「粉引」とは粘土に泥でカバーする技法からなり、粘土と泥との調和から多様な変化を作ることが出来ます。特に鉄分が多い粘土では、泥の濃淡によって焼成すると、かすかに素地の鉄分が表面に見えて、何とも自然で柔らかい雰囲気が漂います。
 鉄分が多く、耐火度の低い粘土にとっては「粉引」の手法は有効なのです。しかし、それだけに、全国各地で多くの陶芸家が「粉引」に取り組んでいるので、独自な作風を作らなくてはなりません。

 「粉引」の手法で一番気をつけなければならないことは、粘土と泥との相性です。この相性が悪いと無惨に泥は表面からはがれ落ちてしまいます。そのため調合を繰り返し試験して、粘土に定着する調合を導かなくてはなりません。特に僕の使っている地元粘土はとてもきめが細かく、他の日本の地域の粘土とは異質なので、従来の調合を参考にしてもなかなか納得するものになりませんでした。調合試験は300通り以上までになって、もう分けも分からず、デタラメな調合にしたところ黄色いものが突然、1個だけ焼き上がって出てきました。それは粘土と泥とのはがれを防ぐために入れた地元粘土の影響に違いなかったのですが、釉薬や焼成方法などの条件が複雑に絡み合っていて、どうしてそのようなものが出来たのか、自分自身でもさっぱり理解できませんでした。この時ほど、しっかりデーターを取っていなかったことを悔やんだことはありません。それから、1年かけて様々な実験を繰り返して、ようやく理論的に黄色い発色の解明ができて、再現が可能となったのです。「瓢箪から駒」も願い続けていると案外出てくるものなんですね。

 本来「粉引」とは乳白色のぽってりとした素朴な風合いのものをいうので、黄色いものを「粉引」というのは、その概念から外れてしまいます。どのような呼び名にしたら良いのか困って、札幌のうつわ専門店青玄洞のオーナーの太田氏に相談したところ、「黄粉引(きこひき)という造語にしたら」と助言をもらいました。1999年のことだと思います。それ以来、僕は黄色い粉引を「黄粉引」として発表しています。
 突然、僕の前に現れた「黄色」。僕はもともと黄色が大好きです。人間にとっての希望を象徴する色だと思います。人の心を温かく明るくする色です。

 「黄粉引」のうつわ達が、お料理を優しく包み込み、人々の心も体も元気にしてくれることを願っています。  


  
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Kazuhiko Kudo, a Japanese potter in Hokkaido

Kazuhiko kudo introduction in English by The Tripout.

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