粉引と素焼き

  姫路での個展が近づいてきました。個展の10日前からは気力を振り絞ってのラストスパートです。毎日、素焼き、釉薬がけ、窯焚き、窯出しを繰り返します。
 
 写真は先日作っためし碗に化粧を施して素焼きしたものです。

 化粧とは、素地の粘土の上に白色の泥を塗る技法です。この技法は白いうつわへの人々の憧れから生まれました。昔は白いうつわを作るのは大変難しい事でした。磁器を発明した中国では国家機密にまでなっていたほどなんです。一方で人々は白いうつわを作ろうと様々な技法を開発します。西洋では骨の灰を粘土に混ぜ込んだボーンチャイナの発明。日本では釉薬を分厚く掛けて白くする志野焼などがあります。僕が得意とするこの化粧土を施す技法は朝鮮が発祥の地で、当時、朝鮮の庶民が日常で使っていたうつわを日本の茶人達が好んで持ち帰ったことから伝わりました。茶人達はうつわの肌合いに石臼で引いた粉の風情を連想させ、この技法で作られたものを「粉引」(こひき)と命名しました。日本の先人達の審美眼は凄いものですね。この化粧の技法は身近にある粘土で多彩な装飾表現が可能となることから日本各地で広まりました。ちなみに、化粧土を刷毛で塗ったものは「刷毛目」と言います。

 素焼きというのは成形したものを乾燥させてから700度〜800度ぐらいで焼成する事です。これによって粘土の状態で30%ほどあった水分が完全に除去されます。粘土は「陶」に変化し、水分を含んでも粘土に戻らなくなります。

 身近な素焼きのものには植木鉢があります。素焼きは水分の吸収と発散する事によって水分や温度の調整をしてくれます。植木鉢には都合がいいのですね。素焼きは縄文の時代から現在まで穀物を貯蔵したり煮炊きする道具として活躍しています。素焼きも立派な焼き物ですね。

 さて、僕のうつわはいよいよ本焼へ!
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